経 済
ネパール人の大半が農業に従事し、農業はGDPのおよそ40%を占める。タライと呼ばれる主な農耕地帯である南部の平原では米が主要作物で、他の農産物は豆類、小麦、大麦および油料種子である。ジュート、タバコ、綿、インディゴもタライ平原で栽培され、森林地帯ではサラソウジュや商業的に価値の高い竹やラタンも産する。低い山間の谷間では夏に米が栽培され、冬に小麦、大麦、油料種子、ジャガイモおよび野菜が栽培される。高地ではとうもろこし、小麦、およびジャガイモが栽培され、段々になった丘陵地帯も農業に使われている。ヒマラヤ山脈の斜面で育てられる大量の薬用ハーブは世界中に輸出してい る。
畜産業は農業に次いでネパール経済の2番目の地位を占める。低い谷間では牛が数多く飼育され、高原ではヤクの飼育、そして羊、ヤギ、家禽はあらゆる場所で無数に飼育されている。
タライ平原のビラトナガールとビルガンジは主な製造業の町であるが、カトマンズでも幾つかの産業が営まれている。製品は絨毯、繊維、靴、煙草、セメントおよびレンガで、米、ジュート、砂糖および油料種子の工場がある。木工と金属の手工芸品も多く作られている。かなりの量の雲母、および少量の黄土、銅、鉄、褐炭およびコバルトの埋蔵物がネパールの丘陵地帯から産出される。水力発電はネパールの主な電気の供給源であるが、国内の河川の潜在能力をさらに開発する計画があり、現在工事が行われている。
観光産業や外国の援助、そして海外で働くネパール人労働者による送金などが、主な外貨の収入源となっている。
しかし現在ネパールでは、政治的な問題があるため、安定した経済発展が見込まれていない。2007年11月に予定されている選挙によって、ネパールの今後の安定した経済発展の行方が見えてくることを期待している。しかし毛沢東主義派(マオイスト)による王政廃止論が唱えられていることによって、今後の王政の存続にも大きな影響を与えており、選挙の結果によっては、ネパールの政治状況は大きく変化する可能性がある。